友広雅紀
海外の学生の通訳
日本の子どもたちとミュージカルをつくるために来日した海外の大学生の通訳ボランティアに参加。業務的な通訳から日常の世話まで彼らと生活を共にした。


役にたっているつもりだったのに、思い上がりだったとは・・・。

自分が役に立っていると思っていたことが、実は僕の思い上がりだったということに気付いたのは、友人に海外のメンバーが何かを真剣に相談している風景を見た時。僕はあわてた。自分にもあんな風に何かをうちあけ、相談してくれるのか?身震いした。怖かったけど、上司に確認してみた。「やっと気付いたか。君の行動は全部自分のため。相手の気持ちになっていない。」本当にショックだった。それから、もっと役に立とうと一生懸命努力した。でも、また、からまわる。悩んだ末、恥ずかしかったが、彼らに聞いてみることにした。「困っていることない?」「この荷物の置き方がわからないんだよ・・。」そんなことだったのか。彼らが困っていたのは、想像していたよりも小さな、そして日本人にとっては、あたりまえのことにたくさんあった。大切なのは「聞いてみる」というコミュニケーション。とてもシンプルで大切なことだった。

◆どんな活動をしましたか?
日本の子どもたちとミュージカルをつくるために来日した海外の大学生の通訳ボランティアを行いました。まず、山奥にこもって彼らと2週間生活をともにしました。彼らが行うショーの準備のために、現地の日本人スタッフと彼らとの間に立ち、舞台の利用上の注意やセッティングについて、専門用語も多い中、苦戦しながらも頑張りました。あと、彼らが日本で生活する上で、宿泊所の使い方、お風呂の入り方、買い物の仕方などなど、生活全般で彼らをサポートしました。

◆ 通訳スタッフになったキッカケは何だったのですか?
友達に「英語できるよね?」と誘われて、話を聞いて興味をもちました。自分の知らない世界を知ってみたい!自分の視野を広げてみたい!と思って。それに、アメリカに住んでいたので、日本に帰ってきて英語を使う機会がなく、改めて自分の英語が通用するか試したかったんです。得意な英語で何かをやりたいし、人との出会いも楽しみでした。

◆大変な事はありましたか?
大変な事だらけでしたね。英語力は話せるし、彼らの役に立っているんだなーと思っていたのですが、実は迷惑な位の、全くの思い上がりだったんです。ある日、他の通訳スタッフに海外のメンバーが何かを真剣に相談していた風景を見て、僕は気づきました。自分にもあんな風に何かをうちあけ、相談してくれるのかな?怖かったけど、上司に聞いてみました。すると上司は、「やっと気付いたか。君の行動は全部自分のため。相手の気持ちになっていない。」ショックでした。

◆原因は何だったのですか?
全部、自分が頭の中で考えて行動してたんですね。それは、彼らが望んでいない、逆に迷惑だったり、つまり、おおきなお世話だったんです。おおきなお世話ばかりで彼らの事を考えていなかった。

◆その後、どうしましたか?
通訳という立場の僕に、彼らが自分たちに何を求めているか、いくら考えてもやっぱ分からなかったんです。答えは、はじめての仕事だし考えても出る様なものじゃなかったんです。そこで、僕は一番信頼されていたスタッフをみて、なぜ奴はYAから信頼されているか、観察してみる事にしました。答えはシンプルな事でした。彼らからちゃんと要望を聞いていたんです。そして、おせっかいではなく、人として当たり前のコミュニケーションをさりげなくちゃんととって、仲良くなって、信頼関係を築いていたんです。仲良くならないと本音は聞けないんだなーと、気付きました。仕事の会話だけでなく「アメリカでは何やってるの?」「俺はこんな事やってる」とか積極的に話し、自分の事をさらけ出す事で、じょじょに彼も心を開いてくれました。そして、彼らの事をじっとと見て、考え、困ってるかなと思ったら、「困ってない?」などちゃんと丁寧にコミュニケーションをとって、彼らが求めている事が分かりました。

◆その後、どの様な事に気をつけて活動しましたか?
なるべく彼らと一緒にいる様に心がけました。昼食、移動中、ぼけっとしてないで声かけて共に行動しました。そして、彼らとの心の距離が近づいたキッカケはダンスでした。リハーサル中に、踊ってみなよと言われ、ちょっと踊ってみたんです。すると、みんなが喜んでくれたんです。「ノリ踊れるんじゃん!」それからは、休み時間に一緒に踊ったり、ダンスをキッカケに向こうから興味を持ってくれました。他にも、日本流のギャグを教える事で、彼らの中で日本語が流行りだして、「調子Do?」「おれと遊んでくれよー」「いらっしゃいませー」など、途中からギャグじゃないんですけど、簡単で何か面白いコトバを繰り返し使ってるうちに、皆が一つになっていって。彼らの活動は、日本の子どもたちとミュージカルをつくるというものなので、日本語を少しでも覚える事は彼らにとって関心が高かったんです。
 
◆この活動に参加して変わった事ってありますか?
日常生活ではやっぱ自分の事ばっか考えてたんです。だけどこの活動を通して、他人のために全力を尽くすという事を無意識にしてました。他人のためにしてる事が自分にたくさん返ってきたというのは衝撃的でした。彼らのイベントが無事に終了し、彼らから、日本の子どもたちの笑顔を見ていると、やってよかったなと思いました。

◆高校生へのメッセージ
簡単な事でもいいんです。ちょっと、身の回りの友達や家族のために何かをすしようと真剣に考えてみる事で、自分が大きく変われるキッカケになったり、たくさん学べる事ってあるよ!